【新唐人2015年04月11日】福建省漳州(しょうしゅう)市のパラキシレン(PX)工場で再度、爆発事故が起こりました。市民やメディアだけでなく環境保護部門からも、地元当局への批判の声が出ています。当局は、パラキシレンの安全性を強調しますが、問題はパラキシレンというより、当局の管理体制にあるとの指摘があります。
福建省漳州市にあるパラキシレン工場で、4月6日の夜に爆発が起きたあと、大規模な火災が発生しました。火災の消火活動は難航し、3日後、つまり9日の深夜3時ごろ、ようやく消し止められました。
しかし、このパラキシレン工場での爆発は初めてではありません。2013年7月にも爆発事故が起こっていました。ところで、漳州市と同じ福建省にあるアモイ市の住民は、今回の事故がひと事とは思えなかったに違いありません。
というのも、このパラキシレン工場はもともと、アモイ市に建設される予定だったからです。2007年、アモイ市当局がパラキシレン工場の建設を発表すると、市民の強烈な反発を呼び、大規模なデモにまで発展しました。最終的に、当局は工場建設を先送りしましたが、そのあと、ひそかに建設地を漳州市の古雷(こらい)半島に移していたのです。
四川省環境保護活動家 譚作人さん
「まず工場の建設地が問題です。最初はアモイ市でしたが、大規模な抗議が起きたために、漳州市に移されました。漳州市当局は経済利益のために建設を受け入れました。しかし、このような工場はリスクがあるので、居住地から離れた場所に建てるべきです」
パラキシレンは国際がん研究機関によってグループ3に分類され、「ヒトへの発がん性ありとは分類できない」とされています。しかし、これまでずっと「長期的に高濃度のパラキシレンに接していると、がんになる」との見方があったため、パラキシレン工場の建設計画が立ち上がると、地元の住民は強く反対してきました。
四川省環境保護活動家 譚作人さん
「この問題は全国であまねく見られます。成都、昆明、南京でもありました。市民の抵抗で建設が取りやめになった所が、他にもたくさんあります。しかし、市民が反対しなければ、地元政府は企業と結託して、利益のために力ずくで都市周辺に工場を建設します。それは都市にとって潜在的なリスクになります」
市民から恐れられているパラキシレン工場ですが、各地の地方政府からは引っ張りだこです。なぜなら、投資額は100億元とされ、年間の売上高も100億元に達することが可能なため、地元の経済を大いに潤すからです。そこで地方当局はパラキシレンについて、「毒性が低く、発がん性はない」と市民に強調しています。
四川省環境保護活動家 譚作人さん
「パラキシレンは毒性が低いものの、爆燃すれば違います。また専門家がよく言う『排出基準』ですが、排出基準に達しても、人体に影響がないとは言えません。概念が異なります。排出基準に達すれば、排出してもいいのでしょうか。市民は排出に耐えねばならないのでしょうか」
あるメディアは、パラキシレンの毒性よりも、パラキシレンの生産の安全確保こそ大事であると指摘しています。例えば自動車や高速鉄道にもともと欠陥がなくても、運転する人間が安全管理を怠たれば惨事となります。
環境活動家 陳法慶さん
「起きてはならない事故です。爆発が起きた主な原因は地方政府です。監督管理を怠っていたので、責任は免れません」
当局はこれまで世界各国のパラキシレン装置で大きな事故は起きていないとして、パラキシレン工場の安全性を強調してきました。しかし中国ではわずか数年の間に幾度もPX装置の火災事故が起きています。わずか2年の間に、漳州市のパラキシレン工場では2度も爆発が発生しました。ここから少なくとも、パラキシレンの毒性が低いとしても、中国ではパラキシレン工場の安全性が確保されていないことが分かります。
新唐人テレビがお伝えしました。
http://www.ntdtv.com/xtr/b5/2015/04/10/a1189964.html(中国語)
(翻訳/河合 ナレーター/水田 映像編集/李)